虎ノ門事件


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初代マック・プラスをまっ君と呼んでいたのは当時の職場ではみんな知っていた、と思っていた。
ある日初代まっ君を操作しながらテレビを見ていた。ふとディスプレイに目を戻すと画面が真っ暗だった。
当時Mac修理の窓口は虎ノ門に一か所あるだけだったので、そこへ持ち込むためだけに専用キャリーバッグを買って担いで行った。
で、そのあと職場に着いて言った。「家のまっ君が夕べ意識を失ってさ、今朝虎ノ門へ置いてきたのよ。」
みんな何が起こったのかを理解してくれた。。。ただ一人を除いて。
昼下がりの給湯室でお茶をいれていた私の背後から両肩をがしっと押さえて、彼女は言った。「息子さん大変ね、ここはいいから早く帰ってあげて。」
両肩にかけられた握力はかなりのもので私は振り返れず説明するチャンスを逃した。私の息子が虎ノ門病院へ入院したことになっていた、彼女の中では。
仕事上の絡みがほとんどなかった人で、その後プライベートな話をする機会は二度とおとずれなかった。
瀕死の状態だったまっ君は二週間後無事私の手元に戻った。

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